【喉に流れる鼻水】後鼻漏の不快感を鍼灸で根本改善を目指しましょう

後鼻漏とは?

後鼻漏(こうびろう)とは、鼻水や粘液が、のどの奥へ流れ落ちる状態を指します。

通常でも一定の量は生理現象として流れ落ちますが、後鼻漏では粘度の高い鼻水や膿が流れ落ちるため、引っかかりや気持ちの悪さを感じます。

一般的な症状と自覚

通常、鼻や副鼻腔では1日に1リットル以上の粘液が作られ、その一部は無意識のうちに喉に運ばれて飲み込まれています。

しかし、粘液の量が増えたり、粘度(ねばりけ)が増したり、粘膜の機能が低下したりすると、その流れを自覚するようになり、不快な症状として現れます。

主な症状は以下の通りです。

  • 喉の奥に鼻水や痰がへばりつく、または落ちてくる感覚
  • 常に喉を「えへん」と咳払いしたくなる
  • 咳や痰の増加(特に夜間や朝方にひどくなることがある)
  • 口臭
  • 喉のイガイガ感や違和感

分類

後鼻漏は、その原因や自覚の有無から以下のように分類されることがあります。

  • 真性後鼻漏(鼻性後鼻漏): 実際に鼻水や粘液が過剰に分泌され、喉へ流れ落ちている状態。
  • 仮性後鼻漏(鼻外性後鼻漏)/後鼻漏感: 実際に大量の鼻水があるわけではないが、喉の粘膜の過敏や炎症(例:上咽頭炎)、加齢による変化などにより、流れを強く自覚している状態。

疫学

特定の疫学データはありませんが、後鼻漏は副鼻腔炎アレルギー性鼻炎などの鼻の病気を持つ人に多く見られます。

また、加齢に伴い粘液の粘度が増したり、嚥下(えんげ:飲み込み)機能が低下したりすることでも、自覚症状が出やすくなると言われています。

後鼻漏の原因

後鼻漏を引き起こす医学的な主な原因は、鼻水や粘液の量や粘度の変化、または粘膜機能の低下に関わる病気や状態です。

鼻・副鼻腔の病気

  1. 副鼻腔炎(蓄膿症):
    • 後鼻漏の最も多い原因の一つです。
    • 副鼻腔に炎症が起こり、膿性(のうせい)で粘度の高いドロドロとした鼻水が多量に作られ、喉へ流れ落ちます。
    • 急性副鼻腔炎(風邪の延長)や慢性副鼻腔炎(3ヶ月以上炎症が続く)があります。
  2. 急性鼻炎(風邪症候群):
    • ウイルスや細菌による感染で鼻粘膜が炎症を起こし、鼻水が増加します。
  3. アレルギー性鼻炎・花粉症:
    • アレルゲン(ハウスダスト、花粉など)に対する免疫反応で、水様性(サラサラ)の鼻水が大量に分泌され、喉へ流れ落ちやすくなります。

その他の原因

  1. 慢性上咽頭炎(まんせいじょういんとうえん):
    • 鼻の奥と喉の上部の境目にある上咽頭という部分に炎症が慢性的に起こり、粘液が喉にへばりつく原因となることがあります。
  2. 加齢による変化:
    • 年齢とともに鼻水の粘りけ(ムチン成分)が増し、ドロドロになりやすくなります。また、粘膜の線毛運動機能(鼻水を送り出す機能)や嚥下機能の低下も原因となります。
  3. 胃酸の逆流:
    • 逆流性食道炎などで胃酸が喉まで逆流し、粘膜を刺激することで炎症が起こり、「後鼻漏感」や咳を引き起こすことがあります。
  4. その他:
    • 鼻中隔弯曲症、鼻ポリープ、鼻の手術後、空気の乾燥など。

後鼻漏の東洋医学的な考え

東洋医学では、「後鼻漏」という病名はなく、鼻汁の過剰分泌や排泄の不調、あるいは喉の違和感という症状を、全身の状態から捉えて「証(しょう)」立てを行います。特に、粘液(鼻水・痰)を「水湿(すいしつ)」と捉え、その代謝に関わる「肺」「脾(ひ)」「腎(じん)」の機能不調が原因と考えます。

主な東洋医学的な原因(証立て)

肺虚(はいきょ)

呼吸器系の「気(き)」が不足し、外からの病邪(風邪など)に抵抗する力が弱い状態。水様性(サラサラ)の鼻水が多く、寒がり、咳、息切れなどを伴う。

脾虚湿盛(ひきょしつせい)

「脾(ひ)」(消化器系)の働きが弱く、水分代謝が悪くなることで「湿(しつ)」(余分な水分や粘液)が溜まった状態。ネバネバとした粘度の高い鼻水・痰が多く、食欲不振、全身の倦怠感を伴う。

痰熱(たんねつ)

炎症や感染により「熱(ねつ)」がこもり、熱が粘液を煮詰めて「痰(たん)」(ネバネバの鼻水・膿)を生成した状態。黄色や緑色の粘性の鼻水・痰、口の渇き、顔面のほてりなどを伴う(副鼻腔炎の急性期など)。

気滞(きたい)

ストレスなどにより「気」の流れが滞り、喉の異物感(梅核気:ばいかくき)として後鼻漏感を訴える状態。

使用するツボ(一例)

患者さんの「証」に応じて、上記のような不調を整えるツボを組み合わせて使用します。

  • 鼻の症状に直接作用するツボ:
    • 迎香(げいこう): 小鼻のすぐ脇。鼻の通りを良くし、鼻水の分泌を抑える。
    • 印堂(いんどう): 眉間の中心。鼻の症状全般に効果的。
  • 「肺」「脾」「腎」を整えるツボ:
    • 合谷(ごうこく): 手の親指と人差し指の間。顔や全身の気の巡りを整える。
    • 中府(ちゅうふ): 鎖骨の下、肩関節に近い部分。「肺」の気を調え、咳や痰を和らげる。
    • 足三里(あしさんり): 膝の下。「脾」の働きを強め、水分代謝を改善する。
    • 太淵(たいえん): 手首の親指側。「肺」の機能を補い、気の流れを良くする。

後鼻漏に対する当院の施術

当院では、後鼻漏の原因となっている自律神経の乱れ、血行不良、局所の炎症に着目し、患者様一人ひとりの「証」に合わせたオーダーメイドの鍼灸施術を行います。

当院の施術方針と特長

  • 自律神経の調整: 後鼻漏は自律神経の乱れ(特に副交感神経優位になりすぎること)によって鼻水の分泌が過剰になることがあります。全身のツボ(特に手足や背中)を用いて自律神経のバランスを整え、過敏な反応を鎮めます。
  • 血行促進と炎症抑制: 滞った血行を促すことで、鼻粘膜や副鼻腔、そして首肩背中の緊張を和らげます。これにより、炎症によって生じた余分な水湿(粘液)の排泄を助け、炎症を抑えることを目指します。
  • 局所へのアプローチ:
    • 鼻の周り(迎香、鼻通、印堂など)や、鼻と関係の深い首肩背中のツボ、さらに上咽頭の緊張に関わる周りの筋肉(翼突筋など)へ集中的に施術を行います。
    • 特に、鍼通電(パルス療法)を硬くなった筋肉やツボに施すことで、深部の血流を改善し、粘液の排出を促進し、自律神経をより効果的に調整します。
  • 自然治癒力の向上: 身体の内側から「肺」「脾」の働きを立て直し、自然治癒力を高めることで、後鼻漏の根本的な体質改善を目指します。

 

ここでは、後鼻漏に対する一般的なセルフケア方法をご紹介します。

後鼻漏のセルフケア方法

1. 鼻うがい(鼻洗浄)の実施

  • 目的: 鼻腔や副鼻腔に溜まった粘度の高い鼻水や膿を洗い流し、鼻粘膜の乾燥や炎症を和らげます。
  • 方法: 体温に近い生理食塩水(体液とほぼ同じ濃度の塩水:水1リットルに対し塩9g程度)を使用し、鼻洗浄器や専用キットで片方の鼻から注入し、もう一方から出すように行います。水道水は粘膜を刺激するため避けましょう。

2. 鼻周辺のツボ押しマッサージ

空いた時間にツボを刺激することで、鼻の通りを良くし、後鼻漏による不快感を和らげます。

  • 迎香(げいこう):
    • 場所: 小鼻のすぐ脇にあるくぼみ。
    • 押し方: 人差し指の腹で、少し上向きに優しく圧迫しながら、小さな円を描くように10秒ほどマッサージします。
  • 印堂(いんどう):
    • 場所: 左右の眉毛の間の中心。
    • 押し方: 中指で優しく10秒ほど押すか、円を描くようにマッサージします。

3. 喉の乾燥を防ぐ

  • 加湿: 特に乾燥する時期や就寝時は、加湿器などを使って室内の湿度を50~60%に保ちます。乾燥は粘液をネバネバにし、後鼻漏を悪化させます。
  • 水分補給: こまめに温かい飲み物(白湯、ノンカフェイン茶など)を少量ずつ飲み、喉の乾燥と粘液の排出を助けます。

4. 食生活の見直し

  • 東洋医学の「脾虚湿盛」の考え方に基づくと、甘いもの、乳製品、小麦粉を使った食品の過剰摂取は、体内に「湿」(余分な粘液)を溜めやすくし、後鼻漏を悪化させる可能性があるため、摂りすぎに注意しましょう。
  • 生姜ネギなど、身体を温め、水分の排泄を助ける食材を積極的に取り入れることをおすすめします。

喉の不快感や慢性的な咳払いに悩まされている方は、日々のツボ押しなどセルフケアを実践しつつ、東洋医学的な視点を持つ鍼灸治療で、根本からの体質改善を目指してみてはいかがでしょうか。不快な症状から解放され、快適な毎日を取り戻しましょう。

 

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三茶はりきゅう院 

執筆者 平坂

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完全個室の施術室

 

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