【東洋医学の力】コロナ後遺症にも注目される嗅覚障害への鍼灸アプローチ

嗅覚障害は、生活の質(QOL)を著しく低下させる可能性があります。

当院では、西洋医学・東洋医学の両観点からこの症状にアプローチし、自然治癒力を高めて嗅覚機能の改善を目指します。

 

 

① 嗅覚障害に対する当院の施術

 

  • 自律神経の調整:ストレスや疲労による自律神経の乱れは、全身の血流や免疫力に影響を与えます。鍼灸により自律神経を整え、身体のバランスを回復させます。
  • 血行促進:鼻腔周囲や頭部、そして全身の血行促進を図り、ダメージを受けた嗅細胞や嗅神経へ酸素や栄養を届け、再生を促します。
  • 炎症を抑える:慢性副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎など、鼻の炎症が原因で嗅覚が低下している場合、炎症を鎮める作用のあるツボを用い、鼻粘膜の状態を改善します。
  • 鍼通電:特に嗅覚に関わるツボ周辺(顔面や頭部)に微弱な電流を流す鍼通電を行うことで、嗅神経の活性化や血流の改善をより強力にサポートします。
  • 首・肩・背中・顎へのアプローチ:これらの部位の緊張は、頭部への血流を妨げたり、自律神経の乱れを助長したりすることがあるため、全身的な調整の一環として施術します。
  • 自然治癒力の向上:全身の経絡を整えることで、身体が本来持っている自然治癒力を引き出し、嗅覚機能の正常化を目指します。

 

② 嗅覚障害の東洋医学的な考え

東洋医学では、嗅覚の異常は主に「の機能低下と密接に関連していると考えます。

五臓六腑のうち、鼻は「肺」に開竅(かいきょう:体の穴や器官と五臓との関連)しているとされ、嗅覚の異常は肺の機能の失調が鼻に現れたものと捉えます。

 

東洋医学的な原因

  • 風邪(ふうじゃ):感冒(風邪)の後に嗅覚障害が残る場合、「風熱」「風寒」といった外からの邪気(病気の原因)が肺に侵入し、鼻の通りを妨げ、嗅覚を損なうと考えられます。
  • 湿熱(しつねつ)・痰濁(たんだく):慢性副鼻腔炎など、鼻水や鼻づまりが長引く状態は、体内の「湿(余分な水分)」「熱」が結びついて「痰濁」を生み、鼻竅(びきょう:鼻の通り道)を塞いでいる状態と考えます。
  • 気滞(きたい)・血瘀(けつお):ストレスや情緒の変動が原因で「気(エネルギー)」の流れが滞り、その結果「血(血液)」の流れも悪くなる「血瘀(けつお)」が生じ、嗅神経への栄養が行き届かなくなると考えられます。
  • 肺気虚(はいききょ):体力の低下や慢性の病により「肺の気(機能)」が衰え、鼻の粘膜や嗅神経を養う力が不足した状態です。

 

使用する主なツボ

  • 局所迎香(げいこう)(小鼻の脇)、印堂(いんどう)(眉間)、上星(じょうせい)(前髪の生え際から上)、鼻通(びつう)(迎香の上)など、鼻の周囲のツボを刺激し、鼻の通りと嗅神経への血流を改善します。
  • 全身太淵(たいえん)(手の脈が触れる部分)や合谷(ごうこく)(手の甲)など、肺経大腸経(肺と表裏の関係)に属するツボや、足三里(あしさんり)(膝下)など、全身の気血を整え、自然治癒力を高めるツボを組み合わせて使用します。

 

③ 嗅覚障害の鍼灸施術のセルフケア方法

セルフケアとして、自宅で簡単にできるツボ押しをお勧めします。

ツボ押しとマッサージによるセルフケア

 

1. 迎香(げいこう)

  • 位置: 小鼻(鼻翼)の最も膨らんでいる外側のくぼみ。鼻の穴のすぐ横のきわにあります。

  • 効果(一般的なもの): 鼻づまり、鼻炎、副鼻腔炎などの鼻の症状、顔のむくみ、花粉症など。

2. 印堂(いんどう)

  • 位置: 左右の眉毛の間の、ちょうど真ん中(眉間)にあります。

  • 効果(一般的なもの): 頭痛、眼精疲労、めまい、不眠、精神的な緊張を和らげるなど。

3. 上星(じょうせい)

  • 位置: 前髪の生え際の真ん中から、指の幅で約1寸(約2〜3cm、人差し指の関節一つの幅)ほど上に入ったところ。頭の正中線上にあります。

  • 効果(一般的なもの): 頭痛、まぶたの腫れ、鼻血、鼻炎、精神安定など。


これらのツボは、指の腹で心地よいと感じる程度の強さで、ゆっくりと押したり、温めたりすると良いとされています。

鼻周囲の血行促進と、頭部や顔面のリラックスを促し、嗅覚回復のサポートが期待できます。朝晩の洗顔後や就寝前など、リラックスできる時間に行うと効果的です。

 

 

④ 嗅覚障害とは?

一般的な医学的症状の説明

嗅覚障害とは、匂いを感じる能力が低下したり、失われたりする状態を指します。

匂いの感じ方によって、まったく匂いが分からない嗅覚脱失、匂いの感じ方が弱くなる嗅覚低下(量的障害)、また、実際には存在しない変な匂いを感じる異嗅症(質的障害)などに分類されます。

 

分類(病態による分類)

嗅覚障害は、匂いの伝わる経路のどの部分に問題があるかによって、主に以下の3つの病態に分類されます。

 

  1. 気導性嗅覚障害:匂いの分子が鼻腔から嗅粘膜(嗅細胞がある場所)に到達できないために起こります。
  2. 嗅神経性嗅覚障害:匂いを感知する嗅細胞嗅神経がウイルス感染などによってダメージを受けるために起こります。
  3. 中枢性嗅覚障害:匂いを認知・識別する脳の中枢(嗅覚中枢)に障害があるために起こります。

 

疫学

嗅覚障害の正確な罹患率は把握が難しいですが、一般的に高齢になるほど増加する傾向にあります。原因として最も多いのは慢性副鼻腔炎で、次いで感冒後(風邪の後)、頭部外傷が三大原因とされています。近年では、新型コロナウイルス感染症による嗅覚障害も多く報告され、注目されています。

 

 

⑤ 嗅覚障害の原因

嗅覚障害の医学的な主な原因を、病態別に列挙し説明します。

  1. 気導性嗅覚障害の原因
    • 慢性副鼻腔炎:鼻の奥にある副鼻腔の炎症が慢性化し、鼻粘膜の腫れや鼻茸(ポリープ)により、匂いの通り道が塞がれる。
    • アレルギー性鼻炎:アレルギー反応による鼻粘膜の腫れや鼻水が、匂いの分子の到達を妨げる。
    • 鼻中隔弯曲症:鼻の中央を隔てる骨が曲がり、鼻の通気が悪くなる。
  2. 嗅神経性嗅覚障害の原因
    • 感冒後(ウイルス感染):風邪やインフルエンザ、新型コロナウイルスなどのウイルス感染により、嗅粘膜の嗅細胞や嗅神経が直接的に損傷を受ける。
    • 頭部外傷:顔面や頭部への強い衝撃により、嗅神経が断裂したり損傷したりする。
    • 薬剤性:特定の薬剤(抗がん剤など)の副作用として起こる。
    • 加齢:嗅細胞の数が減少し、嗅覚機能が低下する。
  3. 中枢性嗅覚障害の原因
    • 脳疾患:脳腫瘍、脳出血、脳梗塞などにより、嗅覚の中枢が障害される。
    • 神経変性疾患:パーキンソン病やアルツハイマー型認知症などの初期症状として現れることがある。

嗅覚障害は、その原因や発症からの期間によって、改善にかかる時間やアプローチが異なります。

当院では、西洋医学的な診断を尊重しながら、東洋医学の得意とする自律神経血流の調整、そして自然治癒力を引き出すことを重視した施術を行います。

「匂いがわからない」「変な匂いがする」といったお悩みは、決して我慢せず、お早めにご相談ください。

 

⑤症例

35歳 女性

3年前コロナ感染後、匂いと味がわからなくなった。

香によって感じたり、嫌な臭いは感じやすいが。風邪をひくと全く感じない。

花粉症・アレルギー性鼻炎は以前からあり、服薬中。

首肩こりがあり、整形外科を受診しストレートネックの診断。

治療1回目

首肩回りの張りや末端の冷えがあるため後頭部から首・肩甲骨周りを緩め、鼻周りの凝りへ鍼通電を行った。

 

2回目

前回以降、首肩の凝りが気になるようになり、リラックスできていないことに気づくようになった。

仕事上冷えやすいが今までは自覚していなかったが、身体を冷やさないよう注意するようになった。

施術前より首肩こりはましになり、以前からあった耳閉感が少し改善した。

引き続き全身治療と鼻周りへの鍼通電を行った。

 

3回目

匂いは以前より感じるようになった。

肩の力が入っていることに気が付くと力を抜くように注意しながら生活している。

自律神経の調節と鼻周りの鍼通電を行った。

 

4回目

前回より匂いを感じるようになった。

ヨガにより肩回りの筋肉痛があるため張りのある部分を中心に施術。鼻周りの通電治療。

 

5回目

匂いはほぼ正常になっている。

身体の緊張や冷えを自覚し、メンテナンスとしてその後も定期的に治療を続けている。

 

当院にはこれまで嗅覚異常の方が多く来院されております。

嗅覚異常でお困りでしたら、お電話かこちらからお気軽にご連絡下さい。

 

【グループ院の紹介】

東京α鍼灸院:中目黒駅

渋谷α鍼灸院:渋谷駅

吉祥寺αはりきゅう院:吉祥寺駅

高田馬場はりきゅう院:高田馬場駅

 

【執筆者】

三茶はりきゅう院

鍼灸師 平坂

 

東急田園都市線・世田谷線「三軒茶屋駅」徒歩3分
平日20:30まで受付、土日祝も営業
完全個室の施術室

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