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突然の「顔の動かしにくさ」に戸惑うとき
朝起きて鏡を見たときに、
片方の口角が下がっている。
うまく目を閉じられない。
ストローで水を飲もうとしても漏れてしまう。
──そんな急な変化に驚き、不安を感じる方は少なくありません。
このような症状の背後にあるのが、顔面神経麻痺です。
発症は突然で、昨日まで普通にできていた「笑う」「まばたきする」といった当たり前の動作がうまくできなくなるため、患者さんに大きな心理的負担を与えます。
顔面神経麻痺は決して珍しい疾患ではなく、年間の発症率は人口10万人あたり20〜30人とされ、誰にでも起こり得る病気です。
多くは適切な治療により回復が期待できますが、治療開始が遅れると後遺症が残る場合もあるため、早期の対応が重要になります。

顔面神経麻痺とは──症状と医学的背景
顔面神経麻痺とは、顔の表情をつかさどる「顔面神経」が障害されることで、顔の片側が動きにくくなる病気です。顔面神経は、まばたきや笑顔、口の開閉などをコントロールするほか、涙や唾液の分泌、味覚の一部にも関わっています。そのため、障害が生じると多彩な症状が現れます。
主な症状
◯片側の口角が下がる、笑顔がゆがむ
◯目が閉じにくく、乾燥や流涙が増える
◯食べ物や飲み物がこぼれる
◯味覚の低下や過敏
◯顔面のしびれや違和感
これらの症状は急に出ることが多く、本人はもちろん周囲の人も驚くほどの変化がみられる場合があります。

顔面神経麻痺の種類
◯ベル麻痺(末梢性顔面神経麻痺)
最も多いタイプで、原因は明確には特定されていませんが、単純ヘルペスウイルスの再活性化が関与していると考えられています。
◯ラムゼイ・ハント症候群(帯状疱疹ウイルスによるもの)
耳の痛みや水疱を伴い、ベル麻痺より重症化しやすく、聴覚症状を伴うこともあります。
◯中枢性顔面神経麻痺
脳梗塞や脳出血など、中枢神経系の障害によって起こるもの。顔の下半分だけに麻痺が出るのが特徴です。
医学的背景
顔面神経麻痺の発症は、血流障害やウイルス感染、自律神経の乱れ、免疫反応など複数の要因が関与しています。特に「発症からどれだけ早く治療を開始できるか」が予後を左右するとされており、医療機関ではステロイド薬や抗ウイルス薬を用いた治療が行われます。
顔面神経麻痺が日常生活に与える影響
顔面神経麻痺は「見た目の変化」だけでなく、日常生活のあらゆる場面に影響を及ぼします。特に以下のような困難が多く報告されています。

1. 食事のしづらさ
口角がうまく閉じられず、飲み物がこぼれる、食べ物が片側にたまるなどの問題が生じます。味覚が鈍くなることで、食事そのものの楽しみが損なわれることもあります。
2. 会話の不自由さ
発音が不明瞭になったり、口元の動きがぎこちなくなるため、人との会話にストレスを感じやすくなります。
3. 目のトラブル
まぶたが閉じにくいことで、角膜が乾燥し、充血や痛みが生じることがあります。重症例では視力障害につながることもあるため注意が必要です。
4. 表情の変化と心理的影響
笑顔が作りにくい、顔の左右差が気になるなど、外見の変化による精神的ストレスは大きなものです。人前に出るのが億劫になり、対人関係や仕事に支障をきたすこともあります。
5. 全身への波及
慢性的な緊張やストレスが続くと、肩こりや頭痛、不眠などの二次的な症状につながることもあります。
このように、顔面神経麻痺は単に「顔が動かしにくい」だけでなく、生活の質(QOL)全体に影響を与える病気です。そのため、身体面だけでなく心理面のサポートも含めた総合的なケアが重要となります。
発症の要因とリスク因子
顔面神経麻痺は「突然起こる」と表現されることが多いですが、その背景にはいくつかの要因が関与しています。発症に至るプロセスを理解することは、再発予防や早期対応にもつながります。
◯ウイルス感染
単純ヘルペスウイルスや帯状疱疹ウイルスが、顔面神経に潜伏感染していることがあります。免疫力が低下するとウイルスが再活性化し、神経に炎症やむくみを起こして麻痺を引き起こします。
◯寒冷刺激
冬場や冷房の効いた環境など、顔や耳周囲が急激に冷えることで血流が悪化し、発症リスクが高まると考えられています。
◯ストレスと自律神経の乱れ
精神的・肉体的ストレスは自律神経のバランスを崩し、血流障害や免疫力低下を引き起こします。これがウイルス再活性化や神経の炎症を助長する要因となります。
顔面神経麻痺がもたらす日常生活への影響
顔面神経麻痺は、単に「顔が動かしにくい」という症状にとどまりません。日常生活に大きな影響を与え、患者さんの生活の質を大きく左右します。
まず、表情が作りにくくなることで、笑顔や驚きなど感情を表すことが困難になり、周囲とのコミュニケーションに支障を感じる方が少なくありません。人前で話すことや写真に写ることを避けるようになり、対人関係に不安を抱くケースもあります。
また、口の動きが制御できないために食べ物や飲み物がこぼれやすく、会食の場で恥ずかしさや不便さを感じることもあります。
目が完全に閉じられない場合は乾燥や異物感が強まり、日常的に点眼薬やアイパッチが必要になることもあります。
こうした機能面と心理面の両面での負担は、患者さんにストレスを与え、回復への意欲にも影響することがあります。
したがって、顔面神経麻痺への対応は「症状を治す」だけでなく、「生活の不便や心のケア」を含めた全人的な視点が重要になります。
東洋医学からみた顔面神経麻痺
東洋医学では、顔面神経麻痺は「気血の流れの滞り」や「風邪(ふうじゃ)」の侵入によって起こると考えられてきました。顔の筋肉を動かすためには、気(エネルギー)と血(栄養)が十分に巡っている必要があります。しかし、これらが阻害されると筋肉や神経がうまく働かず、片側の顔の動きが鈍くなってしまうのです。
特に発症の背景には、身体の抵抗力が落ちているときに「外からの風」が体表に入り、顔面の経絡を塞いでしまうという考え方があります。
これを「風邪中経(ふうじゃちゅうけい)」といい、急に顔が動かなくなる症状と結びつけて説明されてきました。
また、冷えやストレス、過労によって「気血の不足」や「肝気の停滞」が生じると、回復が遅れるとも考えられています。そのため、治療では単に顔の局所だけを整えるのではなく、全身のバランスを調え、体内の巡りを改善することが重要とされます。
鍼灸治療は、滞った経絡の流れを回復させると同時に、身体全体の自然治癒力を高める手段として用いられてきました。顔のツボだけでなく、手足や体幹のツボを選ぶことで、局所と全身の両面から回復を支えるのが特徴です。

当院での鍼灸施術と顔面神経麻痺への対応
当院では、顔面神経麻痺の患者さまに対して「局所へのアプローチ」と「全身調整」を組み合わせた施術を行っています。
まず、顔面の動きを回復させるために、顔周囲のツボ(地倉・迎香・攅竹・翳風など)を中心に鍼を行います。これにより、血流を改善し、筋肉や神経の働きを促進します。また、必要に応じて鍼通電(パルス治療)を組み合わせ、麻痺した筋肉に適度な刺激を与え、神経と筋肉の再連携をサポートします。

さらに、全身の巡りを整えるために、手足や体幹の経穴(合谷・足三里・太衝など)を活用し、自律神経や免疫力の調整を行います。これにより、局所の改善に加え、回復を早める全身的な基盤づくりを目指しています。
施術の際は、発症からの期間や麻痺の程度を丁寧に確認し、急性期・回復期それぞれに合わせた刺激量を選びます。特に急性期は強すぎる刺激を避け、自然治癒力を妨げないよう細心の注意を払っています。
当院の施術は「顔が動くようになる」ことだけを目的とせず、表情の回復・発音のしやすさ・食事のしやすさといった日常生活の質の向上までを見据えて対応しています。

西洋医学的な治療
顔面神経麻痺の治療は、病院では主に ステロイド投与や抗ウイルス薬、リハビリ訓練 が行われます。これらは神経の炎症を抑えたり、原因ウイルスの活動を抑制したりするために重要で、特に発症から早期に開始することが推奨されています。
一方、鍼灸治療は「神経の再生や回復を助ける環境を整える」ことに重点を置いています。血流改善や筋肉の柔軟性の回復、自律神経の安定化などを通じて、薬やリハビリだけでは補いにくい部分をサポートします。
〈両者を併用する有効性〉
◯早期治療の相乗効果
病院治療で炎症を抑えつつ、鍼灸で血流や神経の働きを高めることで回復を促進。
◯後遺症予防
しびれや顔のこわばりなど、リハビリだけでは残りやすい症状を和らげる可能性。
◯生活の質向上
表情の違和感や疲労感、不眠などの全身症状に対しても鍼灸で対応できる。
つまり、病院での治療と鍼灸施術はお互いに補い合う「補完」の関係にあります。
発症初期から併用することで、回復のスピードや仕上がりに良い影響を与えるケースも多く見られます。
最後に──表情の回復と心の再生へ
顔面神経麻痺は、見た目や表情に変化が現れるため、生活の不便だけでなく心理的な負担も大きい疾患です。しかし、早期対応と適切な治療を行うことで、早期改善が見込めます。
鍼灸治療は、顔の局所だけでなく全身の気血の巡りや自律神経のバランスを整え、神経の働きをサポートします。病院治療との併用により、炎症やウイルスの影響を抑えつつ、後遺症のリスクを減らすことも可能です。
大切なのは、症状の改善だけでなく、笑顔や会話、食事といった日常生活の質を取り戻すことです。
顔の動きが戻る喜びとともに、自信を取り戻し、生活を楽しむ毎日を再び迎えられるよう、前向きに取り組んでいきましょう。

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